副社長が、ウチさんに言った。
「弁護士を立てて訴えればいいじゃないか。受けて立ちますよ」
自社の従業員に言って良い発言ではない。
パートさんは、知らないのではない。
戦えないのでもない。
戦わずに、大目に見てきたのです。
保身じゃありません。
私が行かないと、
私がやらないと、
ホテルが稼働できない。お客さまにご迷惑がかかる。
責任感からです。
大目に見てもらっていた、という自覚はないと思います。
現場で一緒に働くと分かりますよ。
エダさんは、手を動かしました。
ベッドメーキングして、客室清掃をするのです。
僕は、見て、聴きました。
全体を見ました。
全員を見ました。
サポートに徹しました。
皆の会話を聞いてきました。
「もっとイイ仕事をしたい」という気持ちからポロっと出てしまう
言葉をたくさん聞きました。
1年半で、
ティッシュケース、ゴミ箱、枕と、
パートさんの声に、少しずつ、ホテルは応えてくれました。
もったいなさすぎます。
素晴らしい人材ですよ。
1番の特徴は、きっと予想外ですよ。
ウチのパートさんの1番素晴らしい所は
プライドが高い所です。誇り高いのです。
私が担当した部屋は、キチンと整えた。しかも速く。
自分が自分に満足できるようにと、部屋を掃除しています。
本当に。
やっつけ仕事をする人はいません。
これは凄いことです。
この人材が会社とちゃんと一致団結したなら、
もっと高い価値をホテルに提供できます。
もっと高い報酬を、ホテルが喜んで支払ってくれることでしょう。
それが叶わないことが、僕は大変悔しいです。
僕に、
職場のルールを決める権限と、
ホテルと直接交渉して良いという権限と、
この人材を預けていただけるなら、もっともっと高い価値をホテルに提供できます。
なにが言いたいか、おわかりでしょうか。
組織図の最下層のパートさんをイジメるのではなくて、
経営幹部が頑張るべきは、
上の、OHや、ホテルに対して、「1.5倍の報酬にしてください」
「2倍に値上げさせていただきます」と、そのような交渉することではありませんか。
これは、言いすぎかな。
もう少し、オブラートに包もうか。